2023年12月10日話が長い人が心がけることとは?
★長い話は聞いてもらえない
「この人、話が長いなぁ・・・」
皆さんの周りには、こんな風に思う人はいませんか?
どの職場や組織にも話が長い人はいるものです。
長い話は人は段々と集中力をなくして聞かなくなります。
従って、話はできるだけ短くすべきです。
では、どうすれば長い話を短くすることができるのでしょうか。
このことをベーシックコースの受講生から相談されたエピソードを紹介しながら解説したいと思います。
★まず話す目的を考える
ベーシックコースを受講していたHさんは会社の接客部門に所属していました。
その部門では定期的に勉強会をやっています。
その勉強会でHさんが3分間の発表をすることになりました。
テーマは接客に関する本を読んでその感想を述べるというものです。
私はHさんから
「本は読んだのですが、全体で250ページもあるんです。この内容を3分でなんてとても話せません。どうすればいいでしょうか?」
と相談されました。
★常に話す目的を考える
この相談を受けて私がまず考えたことは「この勉強会の目的は何だろう?」ということです。
どんな話にも必ず『話す目的』があります。
話す前にそれをしっかりと考えることはとても重要なことです。
私は、話す目的の前提として、勉強会の目的をまず考えたのです。
この勉強会は、接客部門なので「お客様にどのように接するべきか、サービスをどのように提供すべきか」ということを学ぶことが目的でしょう。
この「学ぶ」というのは具体的にどういうことか。
私は常々、研修やセミナー、勉強会などは、参加した後に学んだことを実行することが大切だと思っています。
具体的な行動につながらない学びは価値を生み出さないからです。
なので、私はこの勉強会の学びは参加者が勉強会終了後「今度これをやってみよう!」と思えるものを一つだけでも見つけることだと考えました。
従って、Hさんの話の目的は、その発表を聞いて何人かが「今度これをやってみよう!」と思えることだ、と考えたのです。
★Hさんへのアドバイス
そして、250ページの本を要約して「これをやってみよう!」と思ってもらうことは難しい、本に書いていることの中で一つに絞って話すべきだ、と考えました。
ここまで考えて、私はHさんに次のようにアドバイスしました。
「その本の中でHさんが印象に残っている箇所があると思います。
本のすべての内容を要約するのではなく、その印象深い箇所だけを取り出して材料にしましょう。
そして、その箇所が印象に残ったということは、Hさんが過去にそこに書かれていることに関連した体験をしているはずです。
その体験を話ながら、選んだ箇所に書かれていることが改めて大切だと思った、という話をすれば、他の人の共感を得られ、また学びになるのではないでしょうか」
私が、Hさんの体験談を交えた話にするようアドバイスしたのには理由があります。
聞き手が「今度それ、やってみよう!」と思うには、話に共感してもらうことが不可欠です。
そして、共感してもらうにはKさんの体験談と本の内容をつないで話すのがとても有効です。
体験談を交えると、ストーリー性のある話になり、聞き手が頭の中で映像化できて、その話を踏まえた自分の行動をイメージしやすくなるのです。
私のアドバイスに対して、Hさんは、「何を話せばいいか、イメージが湧いてきました!」と笑顔で言ってくれました。
★短く話すコツとは?
このエピソードには、話を短くするコツが幾つか含まれています。
そのコツの1つ目は、一部分を取り出すことです。
250ページの本全体を話そうとすると、どんなに要約しても10以上かかります。
また話が薄くなり、聞いている人の心に残らないものになります。
本の一部分を話の対象にすることで、話すことがグッと少なくなり、短く話すことができます。
コツの2つ目は、話すことを一つに絞る、ということです。
ほんの一部分を取り出しても、その部分について話すことは幾つも出てくるでしょう。
それらを全て話したのでは、やはり話は長くなりますし、わかりにくくなります。
取り出した部分で言いたいことを1つに絞って話さないと、話は短くなりませんし、言いたいことも伝わりません。
ぜひ留意いただきたいポイントです。
★このコツはあらゆる話す場面で使える
上で述べた短く話すコツは、日本話し方センターのカリキュラムを応用したものです。
各コースでは2分間のスピーチ実習があります。
2分間はとても短いので余計なことは一切言えません。
その代わり大切なことは、聞き手が頭の中にイメージできるくらい具体的に話さねばなりません。
そのためにはスピーチに取り上げた話題全てを話すのではなく、一場面をピックアップしてそこだけを具体的に話すのです。
私はこの手法を応用してHさんにアドバイスしたのでした。
そして、このコツは、本を要約して話すことだけでなく、あらゆる話す場面で応用できるものなのです。
★話し方を体系的に学びませんか?
上で述べたように、日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中コースのカリキュラムは、あらゆる場面で話す際に応用できる内容がふんだんに盛り込まれています。
また、Hさんの例のように、受講生がお仕事やイベントなどで直面しているお悩みにも担当講師が相談に乗っています。
追加料金などは頂戴しませんので、ぜひ受講されてご活用ください!